「英語をマスターしたい!」「英語がペラペラになりたい!」という人は多いと思います。
でも、「マスター」や「ペラペラ」ってどの程度を言うのでしょうか?ネイティブレベルになったら「英語を自分のモノにした」と言うのでしょうか?
英語に限らず、言語の学習は「学べば学ぶほど道のりの長さを思い知る」と言われるように、「ペラペラ」になるまでに長い時間がかかります。そして、日本人は真面目な性格のせいか、「ペラペラ」になるまで英語を話すのは恥ずかしいと感じる人が多いようです。
しかし!そんなことはありません。
英語は必ずしもネイティブレベルである必要はありません。世界には英語が第二言語の人々は多く存在し、皆んな「ネイティブ」でなくても英語を使ってコミュニケーションしているのです。
この記事では、ネイティブ英語は実は「マイノリティ」なのだということを紹介するとともに、英語を第二言語とする国にみる『国別!英語力ランキング』を紹介します。
ネイティブ英語は「マイノリティ」?驚愕の真実!

世界人口のうち、約15億人の人が英語を話すと言われていますが、その内訳が、実に興味深い結果になっています。
世界で英語を堪能に話す人 15億人
↓内訳↓
◆英語が母国語の人 5億人
◆英語が第二言語の人 10億人!
なんと、英語を第二言語とする人は、英語を母国語とする人よりも圧倒的に多いんです!ということは、ネイティブスピーカーの英語は「マイノリティ」ということになります!
完璧な英語でなくてもいい!むしろ、それが「世界標準」!
やや強引ではありますが、英語が完璧に話せない事なんて気にする必要がないことに気づいて頂ければ嬉しいです。
外国企業とのビジネスはもとより、海外旅行での会話でも「英語が完璧に話せるにこしたことはないけど、コミュニケーションツールにすぎない」という認識は必要かと思います。
かのクリスチアーノ・ロナウド(ポルトガル出身)も英語は全然完璧じゃないけど、母国語(ポルトガル語)でない英語でもしっかりコミュニケーション取れていますよね。
リンガフランカってなに?英語は世界の共通語

世界中に英語がここまで浸透した背景には植民地政策があると指摘している報告もありますが、現在の世界では「英語はリンガフランカ」となっていることは紛れもない事実です。
リンガフランカとは、イタリア語(Lingua franca)で「共通の母語を持たない集団内における意思疎通のための言語」を指します。
これは、皆さんも経験があるのではないでしょうか?
英語圏でない国に旅行に行ったときに、現地の言葉はできなくても、英語でお互いコミュニケーションを取ったり、仕事で3か国以上の人々と話すとき、英語で話したりと、色々なケースがあるでしょう。
2020年11月にEF EPIレポートの2020年版が発表されました(日本語版はこちら)。このレポートでは、英語を母国語としない100ヶ国・地域を対象とした英語能力調査がランキング付されています。
以下では、リンガフランカである英語を操る能力の高い国トップ10と、日本の順位について紹介します。
英語が上手なノンネイティブ国ランキング(10位~6位)

10位 シンガポール|アジアを含めた欧州以外の国で首位
グローバルビジネスのハブであるシンガポールが、欧州以外の国では唯一トップ10に食い込みました。国民の多くはマレー系、中国系、インド系の人種ではあり、公用語は「マレー語」です。イギリスの植民地であったためにリンガフランカ(共通言語)として英語が一般的に話されるようになりました。シンガポールの英語は「シングリッシュ」と言われています。末尾に「ラー (lah)」が着くのが特徴的ですね。
9位 ベルギー|6年ぶりに10位圏内に復活!
北側の一部が北海に面しているベルギーは、隣接する国も多く、北から時計回りにオランダ、ドイツ、ルクセンブルグ、フランスとつながっています。その影響から、やはりリンガフランカとしての英語を話す人が多いです。公用語は3か国語(オランダ語、フランス語、ドイツ語)が登録されているというから驚きです。
8位 ドイツ|EU商業・金融の中枢はトップ10の常連国
国内では圧倒的に公用語であるドイツ語が話されているにも関わらず、英語能力は非常に高いです。ベルギーも含め、多くの欧州諸国のように隣接する国が多いことから英語の必要性も高まったのでしょう。世界のGDPランキングで欧州首位であり、国際的なビジネスおよび金融のハブとしての役割も国内の英語力の向上に貢献していると言われています。
7位 ポルトガル|驚異の大躍進|14年は21位だった!

7位には、驚異の大躍進を遂げているポルトガルが入りました。EF EPIレポートでは2014年まで20位圏外だったにも関わらず、近年の調査で順位を上げてきました。公用語はポルトガル語です。リスボンなどの都市部(しかも主に観光地)で英語は話されていたようですが、力をいれてきた英語教育が奏功し、ランキングアップとなりました。
6位 オーストリア|18年12位からの手堅い積み上げ!
北から時計回りにドイツ、チェコ、スロバキア、ハンガリー、スロベニア、イタリア、リヒテンシュタイン、スイスと、実に多くの国と隣接しているオーストリアが6位に入りました。多くの国と隣接する関係上、英語能力に長けるのはもはや必然と思われるかもしれませんが、歴史的な背景から公用語はドイツ語のみという一面もあります。
英語が上手なノンネイティブ国ランキング(5位~2位)
5位 ノルウェー|スカンジナビアの強さの秘密
スカンジナビア諸国の言語と英語のルーツは「ゲルマン言語」であるという共通点があると言われています。そのため、ノルウェー語の単語や文法構造は英語と似ているそうです。なるほど、英語力が高いのもうなづける結果ですね。
4位 スウェーデン|8年間のトップ3の座から後退
多くの世界的に成功している企業を抱えるスカンジナビアの雄・スウェーデンが4位となりました。5位のノルウェー同様にスカンジナビアの言語は英語を習得するのに大きなアドバンテージがあることが背景にあり、安定の上位キープです。

3位 フィンランド|8位→7位→3位と躍進中!
調査機関の間に驚きをもたらし続けるフィンランドがトップ3に食い込んできました。実はフィンランド語は英語を含め、他の欧州諸国の言語にも似ても似つかない言語なのです!それなのに、8位、7位、3位と順調にランキングあげてきている理由は、小さな頃から英語教育が充実しているという教育制度にあるようです。
2位 デンマーク|昨年の4位から上昇!
スウェーデンやノルウェーと同じくスカンジナビアに分類されるデンマークの躍進の理由は、すでにご察しの通りです。全世界でもデンマーク語を話す人口は6百万人未満という状況が、英語を話す必要性を駆り立てているとも言われています。デンマーク国内で放送されるイギリスやアメリカのTV番組にはデンマーク語への吹替えや字幕などはなされないようです。なかなかスパルタですね。
英語能力がもっとも高いノンネイティブ国トップは!

1位 オランダ|直近5年で4度目の戴冠
ノンネイティブ国のうち、英語能力ランキングのトップは2年連続ディフェンディングチャンピオンのオランダです。過去10年間で2012年と13年に3位を取った以外は、常に首位または2位という絶対的な安定感を見せています。オランダ語も、英語の語源とされるゲルマン語系であることが大きく貢献していると言われています。ロッテルダム以外の都市や町でも英語はほぼ問題なく通じるようです。
気になる日本の順位は?

アジア圏で唯一トップ10入りしたシンガポールには羨望の眼差しを送ってしまいますが、主なアジア諸国と日本の順位を見てみましょう。
100ヶ国・地域中「日本は55位」。
なんとも微妙なポジションですが、韓国や中国が遥かに上位にランクインしています。
10位 シンガポール
27位 フィリピン
30位 マレーシア
32位 韓国
38位 中国
50位 インド
55位 日本
56位 イラン 60位 ネパール 65位 ベトナム 74位 インドネシア 89位 タイ
まとめ
ノンネイティブ諸国の間の英語力ランキングをご覧頂きましたが、いかがでしたか?
欧州諸国の強さばかりが目立つ結果になりましたが、英語は世界のリンガフランカ(共通言語)であることはご理解いただけたのではないでしょうか。諸外国の人々とコミュニケーションする上では、ネイティブ並みの英語力は必要なく、むしろそれが普通なんですね。
まずは「ネイティブ英語はマイノリティ」であり、「第二言語として英語を話す人々(私たちも含め)の方が大多数」であることを理解頂き、一人でも多くの日本人が「よし!英語やろう!」と思ってもらえればうれしいです。