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新型コロナで思い出す【紛争地域へ派遣された医師の想い】

20年4月以降、世界中で感染症の新型コロナウイルスが猛威をふるっています。

世界の国々や主要都市が次々とロックダウンし、感染者数は日を追うごとに急増しています。
イタリアやスペインでは病院のベッドが足りず、とりあえず廊下に寝かされる患者さん達の映像がネットで流れていました。

ニューヨークでは、市内の病院だけでは対応しきれず全米から医療従事者が駆けつけたり、
1,000床を擁する米軍の病院船がニューヨーク港に入港しています。

そんな医療現場がパンクしている状況を聞くと、3年前に国際医療系NGO団体の会長(日本人医師)とお話しさせて頂いた内容を思い出しました。

その先生はこれまでアフガニスタンやシリアをはじめとした多くの紛争地域へ赴いて医療活動に従事されており、
その貴重な経験談をお話し頂きました。

シリアでは山梨県ほどの広さ(4,500km2)の土地に百万人が暮らしている。ただ、病院は1件しかないこと。
内戦地域では買い物や学校に通うという日常の外出でさえ、命が危険にさらされること。
医師の数、医療施設、医療用具、薬品がとにかく足りないこと。
衛生状態が悪いため、治療をした患者がすぐに別の感染症に罹ってしまうこと。
次々と患者が病院に運ばれてくるが、感染症を患い体力のない乳幼児がバタバタと目の前で亡くなってしまうこと。

文字通り、バタバタと死んでいくのだそうです。そんな絶望的な環境であるにも関わらず、
現地入りするときには、先生は常に現地の人々や子供達から圧倒されるほどの笑顔や感謝をもらうそうです。

「医療という自分が提供するものよりも、もっともっと大きなものをもらうんです。」と話されていました。

この国際医療系NGOの活動資金はすべて個人の寄付でまかなわれています。
多くの方は活動に賛同しているわけですが、批判的な考え方をする方も少なからずいらっしゃるそうです。
そのような方々の言い分は、だいたい次のような内容だとか。

「内戦が終わらない限り、状況は良くならないさ。君たちがやっていることは砂漠に水をまくようなものだろ。」
「優秀な医師がわざわざ命の危険を冒してまでなぜそこまでするのか?」

そんな時、先生は、南米に伝わる説話をお話しするそうです。

それは『ハチドリのひとしずく』

ある日、山火事が起こりました。

山に住む動物たちは、次々に逃げていきます。

でも、一羽のハチドリだけが、燃える山に水を運んでいます。

クチバシを使って。一滴、一滴。また一滴。

そんなハチドリに向かって、他の動物たちが訊ねます。

「そんなことしても意味ないでしょ。なんのためにやっているの?」

その問いに、ハチドリは答えます。

「わたしは、わたしにできることをしているだけ」

— 

お話しはここで終わり。

「続きは読んだ人がつくるものなのです。」と先生はおっしゃりました。

この小さなお話しは、非常に大切なことを教えてくれている気がしませんか。

今、新型コロナウイルスで日本中が翻弄されています。

各地でクラスターが発生しており、いよいよ日本でも緊急事態宣言の発令が近づいています。

医療現場がパンクしないよう、今、自分にできることは何か?

自分にできる範囲で、どのようなアクションを起こすことができるか?

それを本気で考えてほしいです。